Lancet Oncology 2018

www.ncbi.nlm.nih.gov

 

Ph陰性ALLの高齢者に対するイノツズマブ・オゾガマイシンと低用量化学療法の併用:第二相試験

背景

抗CD22モノクローナル抗体とカリケアマイシンが結合した薬剤:Inotuzumab ozogamicinは再発難治性ALLに対する単剤での効果を示されている。我々は高齢ALL患者に対して低用量化学療法とイノツズマブオゾガマイシンの併用治療の効果と安全性につい評価した。

 

方法

MDACCでの単一群第二相臨床試験。対象患者は60歳以上、新規でPh(-)ALLと診断された患者、ECOG PSは3以下。寛解導入療法レジメンはmini-Hyper-CVPを使用した。奇数サイクル(1,3,5,7)にCy(150mg/sqm 12hごと day1-3)とDEX(20mg/day day1-4, day11-14), アントラサイクリンは使用しなかった。

VCR(2mg/body)はday1,8に投与した。偶数サイクルにはMTX(250mg/sqm day1)とAraC(0.5g/m2 12hごとに, day2,3)を投与した。イノツズマブオゾガマイシンは最初の4サイクルのday3に投与し、1サイクル目は1.3-1.8mg/sqm, 残りは1.0-1.3mg/sqmを投与した。維持療法は減量POMP療法(6-MP, VCR, MTX, PSL)を3年行った。本研究の主要評価項目は2年PFS。解析はintention to treatで行われた。この研究は継続中で修正プロトコルによる治療計画での第三相試験が承認されており、新規患者登録中である。

 

結果

2011年11月12日から2017年4月22日までに52名の患者(年齢中央値68歳 64-72)が対象。フォローアップ中央値は29ヶ月で、2yrPFSは59%だった(95%CI 43-72)

最も多かったGrade 3-4の有害事象は血小板減少(41名:81%)で、寛解導入療法中の感染(27名:52%)、地固め療法中の感染(36名 69%)、高血糖(28名:54%)、低カリウム血症(

16名:31%)、肝酵素上昇(10名:19%)、高ビリルビン血症(9名:17%)、出血(7名、15%)、VOD(4名:8%)であった。6名は治療に関連すると考えられる有害事象のため死亡した。(5名:10%は敗血症、1名:2%はVOD)

 

解釈

イノツズマブオゾガマイシン+mini-Hyper-CVDは初発の高齢者のALLに対して安全で有効な治療選択肢であり、この集団に対する新しい標準療法となる可能性がある。イノツズマブオゾガマイシンを使用しない現行の標準療法との有効性を比較するために、無作為化第三相試験を予定している。